公開: 2026年7月15日(記載の税制情報は2026年7月15日に国税庁の公表資料〈令和7年4月1日現在法令等〉で確認)

Amazon Flexや出前館、宅配・スポット便の業務委託で走る軽貨物ドライバーにとって、売上管理は「やったほうがいい作業」ではなく、事業主として求められている記帳(帳簿づけ)そのものです。とはいえ、開業したばかりで有料の会計ソフトを契約するのはためらう——そんな方に向けて、この記事では無料でできる売上管理の方法を、エクセルを軸に整理します。記録すべき項目、月次集計のやり方、そのまま使える無料テンプレート、そして「エクセルで足りなくなるサイン」まで、実例の数字つきで解説します。

先に結論
  • 委託元が1〜3社の軽貨物なら、売上管理はエクセル(無料)で十分始められます
  • ただし売上の記録は任意ではなく、白色申告でも記帳・帳簿保存が求められています(国税庁・2026年7月15日確認)
  • 記録する項目は日付・委託元・個数・売上・経費・経費の内容・走行距離・メモの8つで足ります
  • 集計はSUMとSUMIFだけでできる——この記事の無料テンプレートは全部組み込み済みです
  • 「入力が翌日以降にずれ始めた」「委託元が増えて集計が崩れた」が、エクセルからツールに切り替えるサイン

そもそも売上管理は「任意」ではない — 白色申告でも記帳義務があります

まず前提から。国税庁の「個人で事業を行っている方の記帳・帳簿等の保存について」(2026年7月15日確認)によると、事業所得を生ずべき業務を行う全ての方——つまり軽貨物の個人事業主も——は、記帳・帳簿等の保存制度の対象です。青色申告の人だけの話ではなく、白色申告でも対象で、所得税の申告が必要ない場合も対象とされています(タックスアンサーNo.2080にも同旨)。

記帳する内容として同資料が挙げているのは、売上などの収入金額や仕入れ・経費に関する事項について、取引の年月日、売上先・仕入先その他の相手方の名称、金額、日々の売上げ・仕入れ・経費の金額等です。ただし、一つ一つの取引ごとではなく日々の合計金額をまとめて記載するなど、簡易な方法で記載してもよいとされています。「1日の終わりに、その日の委託元・売上・経費を1行書く」——軽貨物の実務でいえば、これで記帳事項の柱はカバーできる形になります。

保存期間も決められています。同資料の表によると、収入金額や必要経費を記載した帳簿(法定帳簿)は7年、それ以外の任意帳簿と、請求書・納品書・領収書などの書類は5年です。さらに、令和5年分の確定申告に対する修正申告等からは、売上に関する帳簿を保存していなかったり記載が不十分だったりした場合、申告漏れに課される加算税が5%または10%加重される措置も始まっています。「帳簿をつけていない」ことが、直接お金の不利益につながる制度になっているわけです。

※本記事は国税庁の公表資料に基づく一般的な情報提供です。個別の帳簿要件・申告の判断は税務署・税理士にご確認ください。

エクセルで記録すべき項目は8つ

では何を記録するか。記帳事項(年月日・相手方・金額)に、軽貨物の実務で「あとで効いてくる」列を足した8項目をおすすめします。

記入例なぜ必要か
① 日付7/1(火)記帳事項「取引の年月日」。稼働日数の集計にも使う
② 委託元・案件名A運送記帳事項「相手方の名称」。委託元別の集計・支払明細との照合に必須
③ 配達個数1321個あたり単価の計算に。単価交渉・案件比較の材料になる
④ 売上(円)19,800記帳事項「金額」。その日の業務で発生した金額を書く
⑤ 経費(円)6,000ガソリン・駐車場など。申告時の必要経費の基礎資料
⑥ 経費の内容ガソリン何の支出か後から説明できるように。レシートと突き合わせる鍵
⑦ 走行距離(km)82.4ガソリン代などを家事按分するときの根拠になる(詳しくは経費の記事へ)
⑧ メモ夕方に雨天候・再配達・現場の特記。数字の異常値を後から説明できる

ポイントは②の表記を毎回そろえることです。「A運送」と「A運送(株)」が混ざると、あとで紹介する委託元別の自動集計が別々にカウントされてしまいます。最初に決めた表記をコピーして使い回すのがコツです。

月次集計のやり方 — 使う関数はSUMとSUMIFだけ

売上管理の価値は、記録そのものより月末の集計にあります。といっても難しい関数は不要で、次の2つで足ります。1週間分の実例(架空の数字・後述のテンプレートの記入例と同じ内容)で見てみましょう。宅配のA運送を週6日+スポットのBデリバリーを1日走ったケースです。

これをエクセルにやらせる式がこちらです(6〜36行目にデータがある前提)。

委託元別の集計をおすすめするのには理由があります。月末に届く支払明細と自分の記録を委託元ごとに突き合わせると、計上漏れや手数料の引かれすぎに気づけるからです。また「A社は1日あたり2万円・B社のスポットは1.5万円だが拘束が短い」のような比較ができると、どの仕事を増やすかの判断材料になります。

無料Excelテンプレートのダウンロード

ここまでの8項目・月次サマリー・委託元別集計をすべて組み込んだテンプレートを作りました。無料・登録不要で、そのままダウンロードして使えます。

📥 売上管理台帳テンプレートをダウンロード(Excel・無料)

.xlsx形式(約13KB)。Excelのほか、Googleスプレッドシートにアップロードしても使えます(関数はSUM/SUMIF/COUNTIF/IF/ROUNDのみ使用)。個人・自社の業務での利用は自由です。

中身は次の3シートです。

使い方は毎日1行、黄色いセルを埋めるだけです。帰庫してエンジンを切ったらその場で書く——「あとでまとめて」が続かない最大の原因なので、その日のうちに1行、を習慣にしてください。

※本テンプレートは記帳・売上管理を補助するもので、税法上の帳簿要件・保存要件への適合を保証するものではありません。要件の最終確認は国税庁の公式情報・税務署で行ってください。

エクセルで足りるケース / 足りなくなるサイン

エクセルで足りるケース

この条件に当てはまるなら、無理に有料ソフトやアプリを増やす必要はありません。上のテンプレートで、記帳の柱はカバーできる形になっています。

足りなくなるサイン

2つ以上当てはまるなら、記録の仕組みを変えるタイミングです。

よくある質問

Q1. 軽貨物の個人事業主に売上の記録義務はありますか?

あります。国税庁の公表資料によると、事業所得のある方は青色・白色を問わず、取引の年月日・相手方の名称・金額などの記帳と帳簿の保存が求められています(2026年7月15日確認)。日々の合計金額をまとめて記載する簡易な方法も認められています。

Q2. 手書きのノートでもいいですか?

手段は限定されていません。求められているのは、記帳事項が整然と明瞭に記録され、帳簿が保存されていることです。ただし月次集計・委託元別集計を毎回電卓でやり直すことになるため、実務上はエクセルなど自動集計できる方法をおすすめします。

Q3. 帳簿やレシートはいつまで保存すればいいですか?

白色申告の場合、法定帳簿(収入金額や必要経費を記載した帳簿)は7年、請求書・領収書などの書類は5年です。青色申告の帳簿書類は原則7年(一部の書類は5年)とされています(タックスアンサーNo.2070・No.2080)。迷うなら「全部7年残す」と決めるのが実務的です。

Q4. テンプレートはGoogleスプレッドシートでも使えますか?

使えます。使用関数はSUM・SUMIF・COUNTIF・IF・ROUNDのみで、Googleスプレッドシートでも同じように動作します。スマホのスプレッドシートアプリから開くこともできます(入力のしやすさは画面サイズなりです)。

Q5. エクセルの売上管理だけで確定申告はできますか?

台帳は申告の基礎資料になりますが、申告には収支内訳書(白色)や青色申告決算書の作成が別途必要です。月別の売上・経費が集計できていれば転記は大きく楽になります。青色申告特別控除(最高55万円・電子申告等の要件を満たすと最高65万円)など申告方式の選択も含め、詳細は税務署・税理士にご確認ください。

まとめ

出典(一次情報・すべて2026年7月15日確認)

本記事は上記の公表資料に基づく一般的な情報提供であり、個別の税務相談・税務代理ではありません。帳簿の要件・保存期間・申告方式の最終判断は、必ず税務署・税理士にご確認ください。制度は変更される可能性があります。

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