公開: 2026年7月4日(記載の制度情報は2026年7月4日に国土交通省の公表資料で確認)
「軽貨物って日報が義務になったの?」「何を書けばいいの?」——荷主や同業者から聞いて検索してきた方向けに、この記事では2025年(令和7年)4月から貨物軽自動車運送事業者に求められている「業務の記録」(いわゆる運転日報)のルールを、国土交通省の一次資料(制度ページとリーフレット)だけを根拠に整理します。
- 2025年4月から、業務の記録(日報)の作成と1年間の保存が求められています
- 一人で営業している個人事業主も対象です(「自ら実施してください」と国が明記)
- 三輪・二輪(いわゆるバイク便)は、業務の記録など一部の義務の対象外です
- 記録は紙でなくてもOK。パソコン・スマートフォンでの記録・保存が可能と国が明記しています
何が変わった? — 2025年4月からの制度強化
貨物軽自動車運送事業者(軽バン等で運送業を行う事業者)における重大事故の増加を踏まえ、令和6年に法令が改正され、令和7年(2025年)4月から安全対策が強化されました。根拠となるのは「自動車事故報告規則等の一部を改正する省令(令和6年国土交通省令第90号)」および貨物自動車運送事業輸送安全規則(関連通達は令和6年10月1日付)です(出典: 国土交通省「貨物軽自動車運送事業の安全対策」、確認日2026-07-04)。
ポイントは、この強化が会社の規模を問わないことです。国土交通省のリーフレットには「貨物軽自動車運送事業者は、一人で事業を行っている場合でも、自ら安全対策を実施する必要があります」と明記されています。Amazon Flexや宅配委託で働く個人事業主のドライバーも、自分自身で記録をつける当事者です。
業務の記録(日報)に書くべき6項目
国土交通省のリーフレットでは、行った業務について「主に以下の項目等」の記録を作成し、1年間保存することとされています(出典: 国土交通省リーフレット「貨物軽自動車運送事業者の安全対策が強化されました」(PDF)、確認日2026-07-04)。
| # | 記録する項目 | 書き方のイメージ(一人事業主の例) |
|---|---|---|
| 1 | 運転者等の氏名 | 自分の氏名(一人で営業しているなら毎日同じでOK) |
| 2 | 車両番号(ナンバープレート等) | 使用した軽バンのナンバー |
| 3 | 業務の開始、終了及び休憩の日時 | 例: 開始 8:00 / 休憩 12:00〜12:45 / 終了 18:30 |
| 4 | 業務の開始、終了及び休憩の地点 | 例: 開始・終了とも○○デリバリーステーション、休憩は△△公園駐車場 |
| 5 | 業務に従事した距離 | 例: 82km(オドメーターの開始・終了値から算出) |
| 6 | 主な経過地点 | 例: ○○区□□町一帯 → △△営業所経由 |
※「書き方のイメージ」列は本記事による記入例のイメージであり、国の資料に記載されたものではありません。また項目はリーフレット上「主に以下の項目等」という例示です。正確な要件は国土交通省の公式情報・所轄の運輸支局で確認してください。国土交通省の制度ページからは業務記録の様式例(Excel)がダウンロードできます。
日報だけじゃない — 2025年4月からの新ルール全体像
業務の記録は、安全対策の体系の一部にすぎません。同じリーフレットに掲載されている主な義務を一覧にします(★印が2025年4月からの新たな安全対策としてリーフレットに「NEW」表示されているものです)。
| 義務 | 概要 | 保存期間・期限 |
|---|---|---|
| 点呼 | 乗務の前後に酒気帯びの有無などの必要事項を確認し、点呼記録簿に記録する | 記録を1年間保存 |
| ★業務の記録(本記事の主題) | 上記6項目等を記録する(バイク便を除く) | 1年間保存 |
| ★事故の記録 | 事故が発生した場合、乗務員等の氏名・発生日時・場所・概要・原因・再発防止対策等を記録する | 3年間保存 |
| ★国土交通大臣への事故報告 | 死傷者を生じた事故等の重大事故は、30日以内に所定の様式で運輸支局等を通じて報告。2人以上の死者を生じた事故等は24時間以内にできるだけ速やかに速報 | — |
| ★貨物軽自動車安全管理者の選任・届出 | 営業所ごとに選任し、運輸支局等を通じて届出。選任前に講習、選任後も2年ごとに定期講習を受講(バイク便を除く) | 経過措置は下記参照 |
| ★初任運転者等への指導・適性診断 | 初任運転者・高齢者(65歳以上)・死傷事故を起こした運転者に特別な指導を行い、適性診断を受診させる(バイク便を除く) | 経過措置は下記参照 |
| 運転者に対する指導及び監督 | 安全確保に必要な運転技術・法令遵守事項の指導・監督を毎年実施する | 記録を3年間保存 |
| そのほか | 健康状態の把握(年1回の健康診断)、勤務時間の遵守、異常気象時における措置、過積載の防止、貨物の適正な積載 など | — |
経過措置 — 既存の事業者には準備期間があります
- 安全管理者の選任: 令和7年(2025年)3月末までに貨物軽自動車運送事業の経営届出を行った事業者は、令和9年(2027年)3月までに選任すればよい経過措置があります。令和7年4月以降に届出をした事業者は速やかに選任します。
- 初任運転者等への指導・適性診断: 令和7年3月末までに経営届出を行った事業者は令和10年(2028年)3月までに実施。令和7年4月以降に届出をした事業者に猶予期間はありません。
※経過措置は上記リーフレット(確認日2026-07-04)の記載に基づきます。自分の事業がどちらに該当するか・最新の取り扱いは、所轄の運輸支局に確認してください。
何で記録する? — 紙・Excel・アプリ
リーフレットには「各種の記録・保存は、パソコンやスマートフォンにて実施可能です」と明記されています。つまり、手書きの日報用紙にこだわる必要はなく、必要な項目を記録して1年間保存できるなら手段は選べます。それぞれの向き不向きはこうです。
- 紙(日報用紙): 導入が一番簡単で、車内にバインダーを置けばすぐ始められます。弱点は1年分の保管がかさばることと、集計(月の走行距離など)が手作業になること。
- Excel・スプレッドシート: 国土交通省の制度ページで公開されている様式例(Excel)をそのまま使えるのが最大の利点。迷ったらまず国の様式例をダウンロードするのが確実です。弱点はスマホでの入力がやや面倒なこと。
- アプリ・Webツール: 毎日の入力が最も速く、集計も自動。ただしツールごとに記録できる項目や保存の仕組みが違うため、法定の6項目をカバーしているか・記録を1年間保存できるか(端末の初期化などで消えないか)は自分で確認する必要があります。「アプリを入れれば法令対応は完了」と考えるのは危険です。
どの手段でも、義務を果たす主体はツールではなく事業者本人です。手段選びの最終確認や運用の疑問は、所轄の運輸支局に問い合わせるのが確実です。
よくある質問
Q1. 一人でやっている個人事業主(いわゆる一人親方)も対象ですか?
はい、対象です。リーフレットに「一人で事業を行っている場合でも、自ら安全対策を実施する必要があります」と明記されています。従業員を雇っていなくても、自分で業務の記録を作成・保存します。
Q2. バイク便(二輪・三輪)も対象ですか?
三輪の軽自動車や二輪の自動車を用いる事業(いわゆるバイク便)は、業務の記録や安全管理者の選任・講習など一部の義務の対象外とされています。ただしすべての義務が対象外というわけではないため、自分の事業形態での適用範囲は所轄の運輸支局に確認してください。
Q3. 決まった様式はありますか?
国土交通省が業務記録の様式例(Excel)を公開しています(制度ページからダウンロード可)。記録項目はリーフレット上「主に以下の項目等」という示し方なので、迷ったら国の様式例に沿って作るのが確実です。
Q4. 紙ではなくスマホやExcelで記録してもいいですか?
はい。「各種の記録・保存は、パソコンやスマートフォンにて実施可能です」とリーフレットに明記されています。必要な項目を記録し、1年間保存できる方法であれば選べます。
Q5. 記録しなかったら罰則はありますか?
本記事で確認した一次資料(国土交通省の制度ページ・リーフレット)には、罰則の具体的な内容までは記載を確認できませんでした。そのためこの記事では断定しません。違反時の取り扱いや行政指導・処分の有無が気になる場合は、所轄の運輸支局に直接確認してください。
売上・経費の記録もセットでやるなら
業務記録(日報)をつける習慣ができると、「どうせ毎日書くなら、売上と経費も一緒に記録して確定申告を楽にしたい」と考える方が多いはずです。実際、業務の開始・終了時間や走行距離は、時給換算やガソリン代の按分の根拠として収支管理でもそのまま活きます。
まとめ
- 2025年4月から、軽貨物の事業者には業務の記録(日報)の作成・1年間保存が求められている(一人親方も対象、バイク便は一部対象外)
- 記録するのは氏名・車両番号・開始/終了/休憩の日時と地点・距離・主な経過地点の6項目等
- 日報以外にも点呼(記録1年保存)・事故の記録(3年保存)・重大事故の大臣報告・安全管理者の選任(既存事業者は2027年3月まで)などの義務がある
- 記録は紙でもPC・スマホでもOK。国の様式例(Excel)が公開されている
- 不明点・最終確認は所轄の運輸支局へ
出典(一次情報・すべて2026年7月4日確認)
- 国土交通省「貨物軽自動車運送事業の安全対策」(制度解説・業務記録の様式例Excel等の掲載ページ) — https://www.mlit.go.jp/jidosha/jidosha_tk2_000172.html
- 国土交通省リーフレット「貨物軽自動車運送事業者の安全対策が強化されました」(PDF・中部運輸局掲載) — https://wwwtb.mlit.go.jp/chubu/gian/hoan/kamotukei_reaflet.pdf
本記事は上記の公表資料に基づく一般的な情報提供であり、個別の事業者への法的助言ではありません。制度は変更される可能性があるため、実際の対応にあたっては必ず最新の公式情報と所轄の運輸支局の案内に従ってください。