公開: 2026年7月27日(記載の制度情報は2026年7月27日に、貨物自動車運送事業法の条文をe-Gov法令検索で、講習・選任・届出・点呼・記録の運用を国土交通省の公表資料〈制度改正ページ・FAQ・登録講習機関一覧〉とNASVAの講習案内で確認)

2025年4月から、軽貨物(黒ナンバー)の個人事業主に「貨物軽自動車安全管理者」の選任と講習の受講が義務付けられました。すでに開業している人には猶予期間がありますが、その期限が2027年3月末(令和9年3月31日)。つまり、いま走っている軽貨物ドライバーの多くは、それまでに「講習を受ける→自分を選任する→運輸支局に届け出る」の3つを終わらせる必要があります。この記事では、国土交通省の資料と法令の条文だけを根拠に、「自分は何を、いつまでにやればいいのか」を1ページで整理します。

先に結論
  • 貨物軽自動車安全管理者は、営業所ごとに1人選任する。対象は四輪以上の軽自動車で運送する事業者(バイク便は対象外)
  • 一人でやっている人は、基本的に自分を選任する(配偶者など家族従業者からの選任も可)
  • やることは3つ: ①講習を受ける(5時間以上・eラーニング可)→②選任する→③運輸支局等へ届け出る
  • 期限は、2025年3月末までに経営届出を行った既存事業者=2027年3月末(令和9年3月31日)まで。2025年4月以降に届出した新規事業者=猶予なし(事業開始前までに速やかに)
  • 選任は入口にすぎず、選任後は点呼・業務記録・事故記録などの日常業務が続く(記録はスマホ保存でも可)
  • 選任規定違反・届出違反には100万円以下の罰金が定められている(国土交通省FAQ)

2025年4月に何が変わったか——制度の全体像

国土交通省は、2025年(令和7年)4月から貨物軽自動車運送事業(黒ナンバー)の安全対策を強化しました(国土交通省「貨物軽自動車運送事業における安全対策を強化するための制度改正について」・2026年7月27日確認)。背景として同省のFAQは、平成28年から令和5年にかけて、保有台数当たりの事業用貨物軽自動車の死亡・重傷事故件数が約4割増加した(軽貨物以外の事業用トラックは約2割減少)ことを挙げています。

この改正で軽貨物の個人事業主に加わった主な義務は、次のとおりです。

ばらばらに見えますが、構図は単純です。「営業所に安全の責任者(=貨物軽自動車安全管理者)を置き、その人が点呼や記録を回す」——これが新制度の骨格で、選任はそのスタートラインに当たります。

貨物軽自動車安全管理者とは——営業所ごとに1人・四輪以上が対象

貨物軽自動車安全管理者は、事業用自動車の運行の安全の確保に関する業務を担う責任者です。貨物自動車運送事業法第36条の2(2026年7月27日にe-Gov法令検索で確認)は、要点として次を定めています。

一人でやっている場合は、誰を選任する?

軽貨物の大半は一人の個人事業主です。「管理者を置け」と言われても雇う相手はいない——この疑問に、国土交通省のFAQ(2026年7月27日確認)ははっきり答えています。一人で事業を行っている場合は、基本的に自分自身を貨物軽自動車安全管理者として選任します。配偶者など、家族従業者から選任することも可能です。つまり「自分が講習を受けて、自分を選任して、自分で届け出る」のが一人事業主の基本形です。

選任までの3ステップ——講習→選任→届出

やることは3つだけです。順番も講習が先です(講習修了者の中から選任する仕組みのため)。

  1. 講習を受ける: 国土交通省の登録を受けた講習機関で貨物軽自動車安全管理者講習(5時間以上)を受講する。eラーニングで完結する機関もあります(次章)。修了は選任の日前2年以内のものが有効です
  2. 選任する: 講習を修了した人(一人なら自分)を、営業所ごとに1人、貨物軽自動車安全管理者として選任する
  3. 届け出る: 選任したら遅滞なく、営業所を置く都道府県の運輸支局・運輸監理部・陸運事務所(運輸支局等)へ届け出る。届出様式の例は国土交通省の制度改正ページに掲載されています。解任したときも同様に届出が必要です

期限——既存事業者は2027年3月末まで・新規は速やかに

期限は「いつ経営届出をしたか」で分かれます。基準は開業日や営業開始日ではなく、貨物軽自動車運送事業の経営届出を行った日です(国土交通省FAQ・2026年7月27日確認)。

区分選任(講習受講を含む)の期限
既存事業者(2025年〈令和7年〉3月末までに経営届出を行った事業者)2027年3月末(令和9年3月31日)までに選任
新規事業者(2025年〈令和7年〉4月以降に経営届出を行う事業者)猶予なし。届出後、事業を開始する前までに速やかに選任

「2027年3月までまだ間がある」と思うかもしれませんが、期限直前は講習の申し込みが混み合う可能性があります。eラーニングなら空き時間に受講できるので、早めに講習だけでも済ませておくのが現実的です。なお、選任や届出を怠った場合の罰則として、国土交通省FAQは選任規定違反=100万円以下の罰金、選任・解任の届出をせず又は虚偽の届出をした場合=100万円以下の罰金を挙げています。

講習の中身——5時間以上・eラーニング可・2年ごとの定期講習

講習は国土交通省の登録を受けた民間機関などが実施します(いずれも2026年7月27日確認)。

選任後の日常業務——点呼・記録・保存年限

選任はゴールではなく、ここからが日常です。貨物軽自動車安全管理者(または事業者)が回す主な業務と、記録の保存年限は次のとおりです(国土交通省の制度改正ページ・FAQ・2026年7月27日確認)。

日常業務内容記録の保存
点呼・酒気帯び確認業務の開始前・終了後に点呼を行い、アルコール検知器を用いて酒気帯びの有無を確認し、点呼記録簿に記録する1年間
業務記録(日報)業務の開始・終了の日時、運転した距離など、日々の業務内容を記録する1年間
事故の記録事故が起きたら概要・原因・再発防止対策などを記録する3年間

点呼には経過措置があります。点呼は本来、貨物軽自動車安全管理者が実施しますが、2027年3月31日(令和9年3月31日)までの間は、事業者内の者が点呼を行っても差し支えないとされています(国土交通省FAQ)。裏を返せば、安全管理者をまだ選任していない既存事業者でも、点呼と記録の義務はすでに始まっているということです。一人事業主の点呼のやり方(自分で自分に点呼する方法)と酒気帯び確認の詳細は、姉妹記事「軽貨物(黒ナンバー)のアルコールチェックは義務——一人の個人事業主はどう点呼する?」で解説しています。

なお、これらの記録は紙でもスマホ・パソコンでの電磁的保存でも差し支えないとされています(国土交通省FAQ)。様式例(点呼記録簿・業務記録・事故記録)も国土交通省の制度改正ページに公開されています。

白ナンバーの「安全運転管理者」と混同しない

名前が似ているため混同されがちですが、「安全運転管理者」と「貨物軽自動車安全管理者」は別の法律に基づく別の制度です。

ネットで「安全管理者 選任」と検索すると白ナンバー向けの解説が多く出てきますが、黒ナンバーのあなたに適用されるのはこの記事の制度(貨物自動車運送事業法)のほうです。国土交通省FAQによると、両者の兼務は妨げられていませんが、安全運転管理者が兼務する場合でも、貨物軽自動車安全管理者としての選任・届出は別途必要です。白ナンバー側の制度(何台から選任が必要かなど)は安全運転管理者の選任条件まとめの記事に任せます——制度が違うので、読み替えにはくれぐれも注意してください。

よくある質問

Q1. 一人で軽貨物をやっています。安全管理者は誰を選任すればいいですか?

基本的に自分自身を選任します。配偶者など家族従業者から選任することも可能です(国土交通省FAQ)。自分で講習(5時間以上)を受け、自分を選任し、運輸支局等へ届け出るのが一人事業主の基本形です。

Q2. 安全運転管理者とは何が違うのですか? 兼任できますか?

別の制度です。安全運転管理者は白ナンバー(道路交通法)、貨物軽自動車安全管理者は黒ナンバー(貨物自動車運送事業法)の制度です。兼務は妨げられていませんが、兼務する場合でも貨物軽自動車安全管理者としての選任・届出は別途必要です(国土交通省FAQ)。

Q3. 選任しないと罰則はありますか?

あります。選任規定に違反した場合は100万円以下の罰金、選任・解任の届出をせず又は虚偽の届出をした場合も100万円以下の罰金が定められています(国土交通省FAQ)。既存事業者の期限は2027年3月末(令和9年3月31日)です。

Q4. 講習はどこで受けられますか? 費用はいくらですか?

国土交通省の登録講習機関で受講します。2026年7月27日時点で全国11機関(うちeラーニング4機関)。受講料は実勢おおむね3,000〜5,500円で、例えばNASVAは3,700円(税込)です(2026年7月時点)。最新の機関一覧・申込先は国土交通省の一覧ページで確認してください。

Q5. バイク便(二輪)でも選任は必要ですか?

不要です。選任義務の対象は「四輪以上の軽自動車を使用して貨物を運送する事業者」に限定されており、バイク便事業者に選任義務はありません(貨物自動車運送事業法第36条の2・国土交通省FAQ)。

日々の記録をどう残すか(無料ツール)

制度をまとめると、選任後の毎日は「点呼して、記録して、日報をつけて、保存する」の繰り返しです。国土交通省の様式例(紙)でも要件は満たせますが、1年分・3年分の紙を保管し続けるより、スマホでの記録・保存(国土交通省FAQも電磁的保存を認めています)のほうが現実的——という一人事業主のために、同じ運営元で無料ツールを用意しています。

まとめ

出典(一次情報・すべて2026年7月27日確認)

本記事は上記の法令・公表資料に基づく一般的な情報提供であり、個別の事業者への法的助言ではありません。講習機関の数・受講料・届出の方法などの運用は変更される可能性があるため、実際の手続きは必ず最新の公式情報と管轄の運輸支局等の案内に従ってください。

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